WordPress 企業サイト案件で稼ぐ、お勧めテーマ 3 選

WordPress は世界でもっとも使われているブログソフトであり、また、サイトの構築に使われている CMS でもあります。筆者楽介も、本職で複数の WordPress のサイトを運用・構築しています(オリジナルテーマの作成も手がけています)。

この広く使われているということは、それだけ色々な目的で使われているということでもあります。特に、ブログ(blog)ツールでもあり、CMS でもあるという点が、テーマ選びを難しくし、また WordPress のテーマ選びを失敗してしまう原因にもなっています。そこで、今回は「Wordpress サイトを構築して、稼ぐため」にお勧めのテーマと、その選定基準を解説します。

オススメは海外の基本無料テーマ

当サイトで一貫してオススメしたいのが、海外(英語)の基本無料テーマです。特に、アフィリエイトブログではなく、クラウドソーシングサイトなどで仕事の依頼を受けて制作を行う場合は、「得意な基本無料テーマ+有料プラン+いくつかの有料プラグイン」の組み合わせで有能なデザイナーとタグエンジニアがチームを組んだレベルのクオリティのサイトを、迅速に構築することができます。

「なんだよ~、初期投資はちょっと辛いよ~」という場合でも大丈夫です。基本無料部分だけでも、充分納品に足るレベルのサイトを構築することは可能です。細かな部分のカスタマイズができないことがあるので、上手に折り合いを付ける必要がありますが。

海外基本無料テーマのいいところ

案件でサイト構築を前提にしている

以後で述べるいいところを総括すると、つまり、「このテーマを使ってお仕事を受注してね!」という前提に立っている点です。たった一つの最高のサイトを作ることはできないかもしれませんが、Wordpress と、そのテーマに慣れれば、継続的に仕事を受注できるだけの機能が手に入ります。

無料から始めて、ステップアップとして有料版のフル機能を活用できる

有料版が存在する基本無料ソフトウェアでは、商用利用が許可されていないものもあります。しかし、 WordPress のテーマでは、通常こういった制限が設けられていません。

それにくわえて、基本的な使い方、使用されるプラグインは有料版と無料版では違いません。違いは主に操作できる場所(ヘッダーやフッターの細かいところというパターンがもっとも多いです)と用意されているパーツの豊富さ・機能です。

高機能なスライドショーは有料版でなければ使えないものの、入れ方や表示する写真の選び方は大まかに同じなため、無料版から有料版に移行しても純粋にできることが増えるだけ、といったイメージになります。

こういった関係にあるため、「自分が本当に WordPress 案件を請けて仕事できるか、不安」という場合には実際に案件を請けて「必要だな」と感じてから初めて支払を行うという選択肢も充分にありえます。

テーマは基本機能、サンプルデータでデザインの形式

海外の便利なテーマのいいところは、ひとつのテーマで多くのタイプのデザインに対応できる点です。このため、案件ごとにテーマを入れ換えて環境を構築するのではなく、まずはテーマを導入します。その後、スターターテンプレートやデザインベース、キックスタートと呼ばれるデザインの大元を選び、それをベースにサイトを構築するという流れになります。これにより、あなたの学習コスト(時間や労力)の低減がはかれます。また、当然ひとつのテーマを何度も使うので、案件をこなす度にあなたのスキルが効果的に伸びます。

また、ワークフローがある程度固定化されることで、作業期間や費用の見積もりの精度が上がります。最初は、どうしても「どのくらいかかるか?」「このままだと何が問題になるか?」といった見積もりの精度が低くなりがちです。しかし、一つのテーマでの作業に慣れていれば、必要な作業・一緒にインストールされるプラグイン・されないプラグイン、得意な分野・不得意な分野などが把握できるようになるので、作業前の見積もりも行いやすくなります。

コーディングの精度が高い

ウェブサイトを記述するためのHTMLを「綺麗に」作成することは、 SEO 上必要なことと言われています。また、無駄のない HTML, CSS はブラウザや回線への負担が少なく、その分総合的にユーザーの体験(UX)に優れます。

英語圏は、当然日本語圏と比較して競争が激しいため、全体的にこのコーディング精度が高い傾向にあります。それだけで、ウェブサイトの基本的な品質が高くなると言えます。こういった、基本的な品質から高いものを使う・選択して提案できるのも依頼を請ける上では重要です。

有料版はインストールする権利ではなく、道具を使う権利

国内有料 WordPress テーマの多くは、インストールするサイト1つごとに料金が発生する形式です。また、大体の PC のソフトも、インストールするPC 1台につきいくら、という料金体系にあると思います。

しかし、オススメしている海外テーマのほとんどが、「この期間だけ、有料版の機能を使う権利が与えられる」というものになっています。有料版のインストール数に制限があるものもありますが、アンインストールしても制作されたデザイン・サイトはそのまま運用できます。もちろん、有料版の契約期間が 1年間で、契約を延長しないで無料版になってしまったとしても同様に制作されたデザインはそのまま利用できます。

このため、副業で一時的に有料プランを契約して、数年後にやめてしまったとしても、クライアントに迷惑がかかることはありません。それに、クライアントごとにライセンスの購入・管理の必要がありません(納品時に有料版から無料版に変更しておくことは忘れないようにしましょう)。

まさに、サイトを制作する「ツール」としてテーマが作成されていることが分かりますね。

併用プラグインがワンセット

テーマはテーマ、プラグインはプラグインというのが、本来は WordPress の基本的な設計です。

しかし、高機能な有料テーマの、デザイン・テンプレートのインポート機能にはそのデザインで使われているプラグインを一緒にインストールする機能が付随する場合があります。そうでなくても、テーマをインストールすると、併用を想定しているプラグイン(主にデザインを構築したり、メールフォームを構築したりといった、サイトを作成するためのもの)のインストールを推奨・リンクを張ってくれている場合が多いです。

これにより、デザインの基本を構築すると同時に、必要な機能もまとめてインストールでき、プラグインを探し、検討する時間を大幅に短縮できます。

海外基本無料テーマのイマイチなところ

いいところを数多くあげましたが、当然、「これはちょっと……」という部分もあります。これらのイマイチな点を踏まえても利用をお勧めしますが、知っておいた方がもちろん、いいでしょう。

デザインのベースが英語圏

オシャレですが、日本の企業にはあわない……と思われるかもしれません。デザインの傾向としても、日本はあまり人物の写真を前面にだしませんが、海外のテーマの場合、トップ画像はもとよりページの下部にまでスタッフの写真を掲載することがよくあります。もちろん、人種も日本に馴染みのあることは少ないので、写真だけで「イメージと違う」と思われてしまう可能性があります。

そのため、初期提案前に画像を差し替えておく、などの工夫が必要になるかもしれません。

フォントが英語

デザインのベースとも関係がありますが、優れたデザインテーマの多くがWebフォントに対応しており、タイポグラフィにこだわることができます。

しかし、同梱されているWebフォントは欧文(ローマ字・数字)のみ対応であることがほとんどで、日本語のWebフォントはそのままでは利用できないことがほとんどです。

幸い、ConoHa WING やエックスサーバーなど人気のレンタルサーバーには日本語の Webフォントサービスがあり、これを用いて高品質な日本語タイポグラフィが実現できます。ただしテーマで活用するにはそれなりのスキルが必要になってしまいます。

プラグイン構成などが固定化されてしまう

テーマ推奨のプラグインが自動インストールされるのは便利です。しかし一方で、「より自分や自分の案件に向いた」プラグイン構成などを試行錯誤することがなくなってしまうので、その部分での知識やスキルが成長しない恐れがあります。

また、顕著なのが問い合わせフォームなどに使われるメールフォーム(コンタクトフォーム)で、日本では伝統的に Contact Form 7 というプラグインがよく使われており、ドキュメントが豊富です。しかし、海外のテーマでは WPForms(Contact form by WPForms)が推奨されていることが多いため、戸惑うかもしれません。とはいえ、最近では日本でも WPForms がよく使われているのでこの点に限っていえば、この先問題になることは少ないでしょう。

当サイトのオススメテーマ

では、いよいよオススメテーマのご紹介です。

Astra

公式サイト:https://wpastra.com/

当サイトで第一にオススメして、使い方の詳細な解説もしているテーマです(他のもいずれは紹介したいですが)。

オススメの理由は、海外の基本無料テーマのいいところを全て満たしている点ですが、更に、無料でもインポートできるスターターデザインの数が豊富なこと、スターターデザインが探しやすく工夫され、インポート時に基本的なデザインを行えるウィザード機能を有している点などが上げられます。

また、無料版でもインポートできるスターターテンプレートにもよりますが、無料版でもフッターにある公式サイトへのリンクを外せる点、コピーライトを編集できる点です。

PHP ファイルを少し触る勇気があれば、その他のテーマでもこのコピーライトを外すことはできますが(ライセンス上も通常は問題ありません)、管理画面から気軽に外せる点は、これから WordPress で稼ごう! という人にお勧めできる点です。

また、高機能でありながら充分に高速で、CWV にも優れています。

GeneratePress

公式サイト:https://generatepress.com/

GeneratePress は高速性・堅牢性に重きを置いた質実剛健とでも言うべき WordPress テーマです。姉妹サイト(というか親サイト)でも採用しています。

特徴はやはり高速で、 CWV に優れている点です。

しかし、欠点として Astra  などと違って、スターターテンプレート(GeneratePress の場合、Site Library)が有償のPremium限定な点が「これから始めよう!」という方には強くおすすめしづらい部分になっています。

WordPress のサイト構築に慣れて来た人が案件に使用、本業で Premium を使ったことがあって……とかでなければ、なかなか案件サイトで使うのには勇気がいるかもしれません。

しかし、シンプルに高速なサイトが作れますので、個人で勉強のために使ってみたり、レイアウトにこだわる必要のないブログサイトに使う(筆者のサイトの場合はまさにこれですね)といった用途であればオススメです。特に、今は AMP が Google の検索評価から外され、CWVがスマホ・PC両方で検索の評価に加えられているので、採用する動機になるでしょう。

OnePress

公式サイト:https://www.famethemes.com/themes/onepress/

WordPress で1ページレイアウトの企業サイト・ランディングページを作れ! と言われたら楽介が真っ先に採用を検討する、1ページレイアウトに特化したテーマです(その名の通り!)。

1ページレイアウトは一時期の流行みたいなところもありましたが、コストの削減や見やすさ・ランディングページとしての需要は常にありますので、抑えておきたいテーマです。

楽介は実際にこのテーマを使い、コロナ禍の初期に特別対応した経験があります。とにかく、急いで対応しないといけませんでしたからね。そういう場合にオススメです。

ただし、1ページレイアウトの場合、「ページ単価」で見積もるとあれもこれもと詰め込んでしまって、苦労ばかりしてしまう恐れがあります。コンタクトフォームの設置はいくら・スライドショーの設置はいくら、ページ辺りのセクション上限とそれを越えた場合の費用といった価格を決めておくといいでしょう。

終わりに

今回は、稼ぐためのテーマの選定基準と、それをもとに選んだオススメテーマをご紹介しました。

「あれ? 他のサイトだと基本無料のテーマはそんなにオススメしてないけど、大丈夫かな?」と思われた方もいると思います。他と違うのにはいくつか理由が考えられますが、一番大きいのは、「案件を請けて、報酬をもらう」前提で考えていることだと思います。

日本のブログテーマの多くは、どうしてもアフィリエイトサイトに特化したものが多くあります。そして、紹介している方も、アフィリエイトとしての視点からオススメしていることが多いようです。しかし、日々更新していきヒット記事を蓄積していくブログと、最初から必要な情報が固定化されている企業サイトでは考え方もデザインも大きく異なります。また、もちろん企業サイトは企業の業種や考え方によって必要とされるデザインが変わります。

そして、クライアントから見た価値の他に、受託側から見た都合……つまり、費用や覚え、運用するためのコストも重要になります。どうしても、1案件ごとに数千円から数万円するテーマを毎回購入するのは、原価率を考えて得策ではないでしょう。

違いというのは、こういった考えや価値基準から起きていると思います。よく、「SEO に不利なのでは?」と言われますが、そんなことは全くないです。今の検索エンジンは非常に賢いため、テーマを変えただけで劇的に順位が変わるようなテクニックは存在せず、あったとしてもそれは不正な手段としてすぐに対策されてしまいます。

ですので、安心してこれらのテーマを使い、高品質なサイトを生み出していってくださいね!

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